味の効果4つ
相乗効果、対比効果、抑制効果、変調効果
今回は料理の味つけに必要な味の効果を4つご紹介したいと思いますのでお役立てください。
一般に味の効果では「相乗効果」「対比効果」「抑制効果」の3つがよく知られており、日本料理に限らず他の料理もこの効果を利用して調理や味つけがされています。
料理の味つけをするときに必要な味の効果4つ
相乗効果(そうじょうこうか)
相乗効果とはアミノ酸系のグルタミン酸(昆布、タマネギなど)と核酸系のイノシン酸(魚、肉など)やグアニル酸(椎茸など)を組み合わせると単独のときよりも強い旨味が得られる効果のことです。
イノシン酸が豊富に含まれている肉や魚などの動物性食品とグルタミン酸を含む野菜や海藻などの植物性食品を組み合わせることで旨味が強まり、和食のかつおと昆布のだしも、この効果で旨味の掛け算をしています。
■ 精進料理の場合は、昆布に椎茸を組み合わせてだしを取ることで、この相乗効果を利用しています。
また、日本料理だけでなく西洋の煮込み料理で牛すね肉とタマネギを使ったり、中国料理でスープをとる場合に鶏ガラと長ネギを入れるいうように旨味の相乗効果は世界の料理で利用されています。
対比効果(たいひこうか)
対比効果とは味を引き立たせる効果のことで、甘いや塩辛いといった2つの味がある場合に片方の味がもう片方の味を引き立たせて強く感じる現象です。
例として、よく知られるのがスイカに塩をかけると甘く感じるものです。
■ お汁粉やぜんざいに少量の塩や醤油を加えると甘味が引き立つのも、この効果を使っています。
そして、だしに塩を加えると美味しくなる吸い物やカニ、エビをゆでるときに塩を少量加えると味が強調されて美味しく感じるのも同じ効果です。
【参考】
抑制効果(よくせいこうか)
抑制効果とは味を抑える効果のことで、一般に多く用いられているのが酢の物を作るときに塩や醤油を加えて口当たりを良くし、味をまろやかに仕上げるものです。
これは酸っぱいや塩辛いといった2つの異なる味がある場合に、片方の味がもう片方の味を抑えて弱く感じさせる現象です。
他には、梅干しをつけるときに用いる塩や寿司飯を作るさいの合わせ酢に加える塩があります。
■ 料理が美味しく仕上がったときには「良い塩梅(あんばい)」という言葉をよく使いますが、これも塩と酢(酸味)のバランスからきています。
塩梅(あんばい)とは
この言葉は多く使われますが、本来は(えんばい)と読みます。
「えんばい」とは
塩と梅酢を合わせた調味料のことで、ここから味加減が良いものを「えんばい」というようになりました。
また、「あんばい」にはもう1つ違う字の「按排」があります。
この「按排」には、ほどよく並べるや上手く処理するといった意味があり「按排」と「塩梅」の意味が似ていたことから混同して使われたと考えられ、塩梅も「あんばい」になったとされます。
【追記】
現在では加減酢のことを、塩梅酢(あんばいず)と呼ぶ場合もあります。
変調効果(へんちょうこうか)
変調効果とは食塩水を飲んでから水を飲むと甘く感じるように、続けて2つの違うものを味わった場合に一方の味が変化する現象のことです。
◆ 味の効果にはこのような4つがあり、それぞれが違う役割や意味をもっています。
【味つけ関連】
≫和食の調味料割合と配ごう一覧
今回は味の効果についてご紹介いたしました。
他のレシピ等につきましては≫「本サイトの料理内容一覧」にも掲載しておりますので、お役立ていただければ幸いです。
次回は違うメニューでお目にかかりたいと思います。最後まで閲覧していただき、ありがとうございました。