和食の料理用語集【沖縄県の郷土料理と名物料理】
いなむどぅち
沖縄県の郷土料理。
甘みそ仕立ての実の多い汁物で、祝い事のさいに多く用いられる献立です。
「いな」はイノシシのこと、「むどぅち」にはもどきという意味があり、本来はイノシシ肉が使われていましたが、次第に豚肉を用いるようになったことからこの名があります。
豚肉、かまぼこ、シイタケなどの短冊切りを下ごしらえし、豚でとった出汁(だし)とカツオ出汁で煮て、甘みそでとろりと仕上げます。
いらぶー料理
「いらぶー」とは、エラブウミヘビの方言で、この「いらぶー」を長時間煮込んで作る濃厚なスープ(いらぶーしんじ)のことです。※「しんじ」は、せんじ汁のこと。
豚足、コンブ、いらぶー等をやわらかく煮て作り、昔から最高級の料理といわれています。
尚、いらぶーしんじは、そのまましんじ(せんじ汁)として飲まれる場合もあります。
かしちー
農産物の収穫を祝う「うまちー」という行事のさいに作られるもので、御強(おこわ)の一種です。
もち米を蒸した「白かしちー」と、もち米にアズキを加えて蒸した「赤かしちー」の2種類があります。
からすぐゎー
小魚、貝、魚のわたなどで作る塩辛のことです。
沖縄では塩辛のことを「からす」と呼び、ぐゎーは愛称です。
もっとも親しまれているのが「すくがらす(アイゴの稚魚の塩辛)」で、木綿豆腐の上にのせて酒の肴(さかな)にします。
そのほかにも「いちやがらす(イカの塩辛)、わたがらす(カツオのわたの塩辛)、うまがらす(シャコガイの塩辛)、ちーるがらす(ウニの塩辛)」などがあります。
黒肉(くろじし)
沖縄県の郷土料理である「みぬだる」を作るときに黒ゴマを用いたものです。
じーまーみ豆腐
サツマイモデンプンとラッカセイの搾り汁を練り上げて、冷やし固めたものです。
ラッカセイのことを「じーまーみ」といい、でき上がりが豆腐のようなのでこの名があります。
口当たりはとろっとしており、こしの強いものほど上等とされます。
菜飯(せーふぁん)
汁かけご飯の一種で、温かい飯の上にせん切りにした色とりどりの具を並べて、かけ汁をかけた料理です。
砂糖、しょうゆなどで味つけしたカツオ出汁(だし)でシイタケ、ニンジン、タケノコ等を煮含めたものと薄焼きたまごなどを具にします。
かけ汁は、豚の出汁とカツオ出汁を合わせて砂糖、しょうゆ、ショウガ汁などで調味します。
普通は献立の最後に出され、塩蒸しの鶏肉をのせた鶏飯(ちーふぁん)、豚肉入りの炊き込み御飯を用いた豚飯(とうんふぁん)などもよく知られてた汁かけご飯です。
そーきぶにの御汁(そーきぶにのおしる)
沖縄県の代表的な汁物のことで「そーきぶに」は骨付きあばら肉の部分をさし、これをコンブやシイタケとともにカツオだしで煮込みます。
骨から肉がはずれる程度までじっくりと煮込んだ濃厚で具だくさんの汁物です。
ちゃんぷるー
代表的な家庭料理で、1丁が1㎏ほどの沖縄の木綿豆腐と季節の野菜を炒め合わせ、塩味を主体に調味したものです。
用いる野菜の名前を頭につけて呼び、「まーみな(もやし)ちゃんぷるー、ゴーヤー(苦うり)ちゃんぷるー」などがあります。
豆腐餻(とうふよう)とは
沖縄特産の珍味のひとつで、中国の腐乳(ふーるー)に製法が似ているため、中国から伝えられたといわれます。
米こうじを泡盛に漬け込んで作った漬け汁に下処理をほどこした豆腐を漬け、2ヵ月から1年ていど熟成させます。
コクのある深い味わいを持つことから「東洋のチーズ」ともいわれ、お茶うけや酒の肴(さかな)として好まれます。
中身の御汁(なかみのおしる)
中身(なかみ)とは豚の大腸、小腸、胃袋の総称で、これらの臓物を使った汁物のことです。
おからでよく洗い、ショウガ、ミカンの皮などと一緒に下煮した「なかみ」と、せん切りのシイタケを塩、しょうゆで調味しただしの中に入れて煮、仕上げにヒハツというコショウに類似した香辛料をふり入れます。
臓物を処理する独特の調理方法によって品のよい高級料理に仕上げてあり、現地の祝い事には欠かせない料理です。
みぬだる
豚ロースのうす切りにゴマだれをまぶして蒸し上げたものです。
王朝時代の宮廷料理として生まれたもので、前菜や酒の肴(さかな)に向き、黒ゴマを使うと出来上がりの色が黒くなることから、別名を黒肉(くろじし)といいます。
琉球料理(りゅうきゅうりょうり)
沖縄県の郷土料理全般をあらわす名称です。
沖縄は琉球王国の時代(1429~1879)から本土と中国大陸の影響を強く受けながら独自の料理文化を発達させ、約150種にのぼる沖縄ならではの独特な料理を生み出しており、その質と量の観点から民族料理ともいえます。
現在伝わっている琉球料理は、王朝時代の宮廷料理と庶民料理にそれぞれ源を持つ二つの流れによって形作られてきました。
豪華な宮廷料理が接待料理などとして用いられる一方、庶民は日々の生活の中から独自の庶民料理を自然に生み出してきました。
琉球料理の特徴は南方的風土を反映しているために豪華で、大まかにみえる部分もありますが素朴な中に人情の細やかさがうかがえる料理が多いです。
また、沖縄は亜熱帯に位置していて高温多湿の気候のため、食品の鮮度が保ちにくいので独特の保存法が工夫されており、中国料理の影響を受けていることから豚肉と油を用いた濃厚な味つけの料理が多く存在します。
豚は肉だけでなく、頭から足の先、血や内臓まで無駄なく使いこなしてあり、全国的に有名になっているお酒として、琉球料理に欠かせない沖縄特産の泡盛があります。
※ 郷土料理は各地方で独自に発展しているため、地域によって材料や作り方などが多少異なる場合があります。
【関連】
≫料理の雑学、豆知識一覧
≫日本料理、会席・懐石案内所
≫献立四季報「春夏秋冬」味暦
≫煮物レシピと調味料の割合
【参考】
≫献立別の料理用語集一覧
【献立別】 | 各料理の語源、意味、由来など |
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