和食の料理用語集【長野県の郷土料理と名物料理】
御手繰(おたぐり)
長野県飯田市近辺の郷土料理。
よく水洗いした馬のはらわたを刻んで4~5時間かけて水煮したのち、みそと酒で味つけして、さらに煮込んだものです。
馬の長いはらわたを取るさい、「手繰り寄せる」ように出すことからこの名があります。
御煮掛け蕎麦(おにかけそば)
長野県の郷土料理で、別名を「とうじそば」といいます。
濃いめのしょうゆ汁やみそ汁に季節の野菜、油揚げ、キノコなどを入れ、ぐらぐらと煮立てた中へ、ソバをゆでて普通よりも小さい玉にしたものを、とうじかご(柄の長い小ざる)に入れてくぐらせ、椀に盛りつけて、おろし大根、刻みねぎ、クルミなどを薬味にして食べる料理です。
御焼き(おやき)
小麦粉をこねて作った皮に季節の野菜のゴマ和えやみそ和え、漬物、アズキあんなど、好みの材料を包み込んで焼いたり蒸したりしたもの。
皮は小麦粉とソバ粉を混ぜ合わせたり、米粉で作る場合もあります。
謙信寿司(けんしんずし)
飯山市富倉に古くから伝わる郷土料理。
すし飯は、うるち米にもち米1割を加えてかために炊き、具には山菜、大根、なす等の野菜のみそ漬けを油炒めしたもの、クルミ、紅しょうが、錦糸玉子などを用います。
すし飯をササの葉にのせて軽く押さえたところに具を散らして形をととのえ、これを3~5段重ねてササの葉で覆って重しをします。
戦国時代の越後国の大名、上杉謙信(うえすぎけんしん)が川中島の戦場へ出陣するたびに、土地の人々が兵糧(ひょうろう)としてささげたことからこの名があります。
五平餅(ごへいもち)
長野県南部、岐阜県の山側の郷土料理。
炊きたての飯を軽くつぶして(よくつぶす地方もある)、薄く細長い板に手でしゃもじ状に握りつける、または太く長い竹串に平たいだんご型にまとめたものを2~3個刺し、これを火にかざしてあぶり固めます。
そして、クルミやゴマをつぶして砂糖、しょうゆ、みそ、またはこれらを混ぜ合わせた焼きだれを表面に塗り、遠火で香ばしくなる程度にあぶって作ります。
■ 長野県、岐阜県のほかに付近の休憩所や高速道路のパーキングエリアなどでもよく販売されています。
治部煮(じぶに)
鶏肉や鴨肉に片栗粉、そば粉、小麦粉などをまぶして、生麩や野菜とともに濃いめの煮汁で煮る料理のことで、石川県金沢市の代表的な郷土料理です。
治部煮の由来には「じぶじぶと煮える」という説や、兵糧奉行の岡崎治部右衛門の名からつけられたという説などがあり、長野県渋温泉の郷土料理ともいわれています。
濃いめの煮汁をひと煮立ちさせ、鶏肉や鴨肉に下処理の粉をまぶして、その中でサッと煮てください。そして、下ゆでや下煮をしておいた野菜等を加えて更に煮込んでください。
また、炊き合わせに用いる場合は肉、野菜、生麩などを別々の煮汁で煮含め、一旦さまして味をなじませたあと、仕上げに1つの器に盛り合わせてください。
占地辛煮(しめじからに)
保存食の一種で、しょうゆ、または酒で割った薄口しょうゆでシメジを煮つめたものです。
長野県、山梨県、群馬県北西部などで作られ、シメジの他にアミタケなどのキノコも用いられます。
付場料理(つけばりょうり)
長野県の千曲川(ちくまがわ)や犀川(さいがわ)付近の名物料理で「つけば」とは、川魚の産卵場所のことです。(そこに寄る魚をとるために川の中に作る施設も「つけば」という)
河原に仮設の小屋を設け、主に4~6月の産卵間近のハヤを取ってすぐに塩焼き、魚田(ぎょでん)、天ぷら、フライなどにする野外料理です。
饅餅(のたもち)
諏訪(すわ)市周辺の郷土料理で、枝豆で作ったあんをかけたもちです。
もちは、すりこ木で軽くつぶす程度にして用い、ゆでて薄皮を取り除いた枝豆は、すりつぶして砂糖、塩、みりんを加えてさらにすりのばします。
馬刺し(ばさし)
馬肉の刺身のことで、熊本県や長野県の名物料理です。
くらした肉をうす切りにして、しょうがじょうゆ、にんにくじょうゆなどを添え、繊維がやわらかく、滑らかな舌ざわりが特徴です。
【馬、いのしし、しか肉の各名称】
■ 馬 ⇒ さくら
■ 猪 ⇒ ぼたん
■ 鹿 ⇒ もみじ
蜂の子飯(はちのこめし)
長野県の郷土料理。
クロスズメバチの子(幼虫、さなぎ、若バチ)をからいりして塩を振り、炊きたての飯に混ぜたものです。
■ 塩のかわりに酒、砂糖、しょうゆで味つけする場合もあります。
梁越饅頭(はりこしまんじゅう)
南佐久地方の名物です。
ソバ焼きもちのことで、ソバ粉に刻みネギやショウガを混ぜてみそで調味し、こねたものを椀に入れて丸め、これを焼きます。
一説には、家の梁(はり)を越すほどに高く投げ上げては椀で受けて生地を丸めたことからこの名があるといわれます。
引伸団子(ひんのべだんご)
下高井地方の郷土料理。
ネギやダイコンなど野菜の入ったみそ汁に、小麦粉をこねてクルミ大のだんごにしていれた「すいとん」のことです。
手で引きのばしてだんごにまとめたことから、この名があります。
痩馬・邪旨(やしょうま)
涅槃会(ねはんえ)の供え物として作られるもちで、青ノリ、ゆでダイズ、ごま入りのものなどがあります。
■ 涅槃会(ねはんえ)とは、釈迦入滅の日の2月15日に行われる法会のことです。
こねて片手で握った形が馬の背に似ているので「やせうま」これがなまって「やしょうま」になったといわれます。
また、釈迦入滅のときにこれを食べ、弟子の邪(やしょ)に「邪、うまかった」といったからという説もあります。
鰙・若鷺・公魚の甘露煮(わかさぎのかんろに)
諏訪地方の郷土料理。
諏訪湖産のワカサギを薄い塩水で振り洗いし、酒、砂糖、しょうゆ、ショウガの合わせ調味料の中で落しぶたをして煮込み、汁が少なくなったところでみりんを加えて、汁けがほぼなくなるまで煮たものです。
鰙・若鷺・公魚利久煮(わかさぎりきゅうに)
長野県諏訪地方の郷土料理。
ワカサギの甘露煮の仕上げに、いった白ゴマを振りかけたものです。
※ 郷土料理は各地方で独自に発展しているため、地域によって材料や作り方などが多少異なる場合があります。
【関連】
≫料理の雑学、豆知識一覧
≫日本料理、会席・懐石案内所
≫献立四季報「春夏秋冬」味暦
≫煮物レシピと調味料の割合
【参考】
≫献立別の料理用語集一覧
【献立別】 | 各料理の語源、意味、由来など |
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