鮟鱇(あんこう)【つるし切りの手順】料理材料と四季の旬食材/和食の料理用語集

 
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料理の雑学、豆知識【和食の料理用語集】

鮟鱇(あんこう)

アンコウ科の深海魚で、キアンコウ(別名 ホンアンコウ)とアンコウ(別名 クツアンコウ)があり、味は前者のほうが良いです。

両者の外見はよく似ており、体は暗黒褐色でやわらかく平たい。

キアンコウとアンコウは、口の中の色と違いで見分けることができます。キアンコウの口中は白く、アンコウの口中は黒くて黄色い円形斑紋が点在しています。

頭が大きくて上手に泳げないため、手足のように変形した胸ビレや腹ビレを使って海底を移動します。■ 全長は1~1.5m。

北海道以南に多く、底引き網で捕獲します。(漁期はおおむね12月~3月)

柔軟性に富み、骨はきゃしゃで壊れやすく、ぬめりと粘りがあっておろしにくいため、カギ(太くて大きい釣り針のようなもので金属製)を下あごにひっかけてつるしながら切ります。

【調理手順の一例】
つるしたアンコウの口の中に水を入れて胃をふくらましたのち、ちょうちんと呼ばれる部分と全てのヒレを切り落とす。

内臓に傷をつけないよう逆さ包丁で腹皮を開き、胃の内部の不消化物を取り出したあと、臓器や卵巣などを切り離す。※(胃を開くと最初に入れた水が一気に出ますので、アンコウの下に盥(たらい)など大きめの容器を置いてから作業を進め、卵巣は形状が長いため、手で下に引っ張りながら取り出します)

口のまわりに切り込みを1周ぐるりと入れ、手で下に引きながら皮をはぐ。※(肩ぐちは皮が骨にひっかかりますので、少し上に持ちあげて人間がセーターやトレーナー等の服を脱ぐような感じで引き進めます)

頬肉(ほほにく)を切り取り、中骨に刃をむけるような感じで尾のほうに包丁を進めながら柳肉(やなぎにく)を切りはなす。※(一般的な魚の上身と下身の部分が柳の葉に似ていることから、アンコウの場合は柳肉といいます。七つ道具のひとつ)

あんこうの七つ道具の種類と名称【料理の雑学、豆知識】

残った頭と骨は、使いやすい大きさに切り分ける。この手順でアンコウのつるし切りは完了です。※(おろす人によって手順や方法は多少異なります)

■ 扱いに慣れてくると、まな板の上でも十分おろせるようになります。(こちらのほうが早いため、私はアンコウをつるさずにまな板の上でおろします)

肝臓以外に脂肪はごくわずかしかなく、柳肉のほか、肝臓(別名:水袋)、卵巣(別名:ぬの、ぬの袋)、ひれ(別名:とも)えら等、ほとんどが食べられ、これらは俗に「あんこうの七つ道具」と呼ばれます。

代表的な食べ方は、味つけした煮汁の「割り下」で煮ながら食べるアンコウ鍋で、これはもともと茨城や北陸などの漁師料理でしたが今では日本中に知られています。

割り下とは?

また、ほかには煮汁に肝を溶かして赤みそ仕立て合わせみそ仕立て(しょうゆで味をととのえる場合もある)にしたアンコウ汁、しょうゆだれに漬け込んだつけ焼き唐揚げ、ゆでた身や皮を肝酢で和えた肝よごし(和え物のことをよごしといい、他に胡麻よごしなどが作られる)等があり、胸ビレをゆでてゼラチン化したものをみそ煮した料理は「みそ吸い」として賞味されます。

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