【味の相乗効果と栄養素の吸収率向上】
今回は肉料理に玉ねぎを使うことが多い理由を2つご紹介したいと思いますので、料理作りの参考にされてはいかがでしょうか。
肉料理に玉ねぎを使う効果
理由① 味の相乗効果
和食の出汁(だし)を取る場合、加熱した昆布だしに削りがつおを加えて旨味を抽出し、キッチンペーパーやネル生地で静かにこします。
この方法は昆布の旨味成分であるグルタミン酸と、かつお節の旨味のイノシン酸を組み合わせた味の相乗効果(そうじょうこうか)を利用したものです。
そして、肉料理の場合はイノシン酸が肉にあたり、玉ねぎがグルタミン酸になります。
この理由から、西洋料理ではスープを取るときやハンバーグ生地を作る場合に玉ねぎを利用して同じ効果を得ています。
したがって、和食の場合も昔から肉じゃがや豚の角煮、肉団子などを作るときに玉ねぎ(または長ねぎ)を使って、より旨味が増すように工夫されています。
【関連】
理由② 栄養素の吸収率向上
玉ねぎやニンニクはアリインと呼ばれる含硫化合物(硫黄を含んだアミノ酸)をもっており、この物質がアリイナーゼという酵素の働きで分解されて「アリシン」が生成されます。
(玉ねぎを切ると酵素が働きます)
そして、このアリシンがビタミンB1と結合するとアリチアミンという物質にかわり、体内での保留時間(血中滞在時間)が長くなります。
その結果、糖質の代謝に必要なビタミンB1の吸収が良くなるため、疲労回復や脳を活発に働かせる効果があります。
【具体例】
この理由から、定食屋さんや飲食店ではビタミンB1を多く含む豚肉と玉ねぎを短時間で炒めた料理に「スタミナ」という言葉が使用されており、人体にとって良い効果が期待できます。
また、うなぎを食べると夏バテを防止したり、スタミナがつくといわれる理由のひとつは、ビタミンB1を多く含んでいるためです。
※ アリインは玉ねぎを切ってから水で長時間さらしたり、加熱しすぎると効果が落ちますので注意してください。
今回は肉料理に玉ねぎを使う主な理由を2つご紹介いたしました。
味の効果の詳しい内容につきましては≫「料理を美味しくするために必要な味の効果4つとは!相乗、対比、抑制、変調」に掲載しておりますので参考にされてはいかがでしょうか。