和食の料理用語集【高知県の郷土料理と名物料理】
御仏煮(おぶつに)
高知県の郷土料理で、元来は仏事のときの精進料理として作られ、知人や縁者に配る習慣がありました。
作る日は宗派によって異なり、浄土真宗では親鸞の命日(旧暦 11月28日)、浄土宗では法然の命日(1月25日)です。
現在では家庭料理としても親しまれ、ダイコン、ニンジン、ゴボウ、サトイモなどを細かく刻んで砂糖、しょうゆ、みりん等で味つけしたダシで煮込み、ゆでたアズキを加えてさらに煮込みます。
鰹の腹坊焼き(かつおのはらんぼやき)
カツオのかまを塩焼きにしたものです。(腹の身を一緒に焼く場合もある)
かまは脂がのっているために最も美味とされる部分で、ショウガじょうゆ、レモン、スダチ、ゆずのしぼり汁をかけて食べます。
鯖の姿鮨(さばのすがたずし)
サバを丸ごと1匹用いた豪快なすしのことです。
鯖の姿鮨は宴席に欠かせない料理で、サバの生臭さを取るためにユズのしぼり汁をたっぷりと用いるところが特徴です。
■ サバは背開きにして塩をあて、ユズのしぼり汁を混ぜた酢に漬け込んでおきます。
いりゴマとショウガを混ぜ込んでユズのしぼり汁を加えた合わせ酢で味をつけたすし飯をサバの頭から尾のつけ根まで詰め、形をととのえたあと押しをして半日から1日程度ねかせます。
食べるときにすしをひと口大に切り分け、頭と尾は立てて盛りつけます。
皿鉢料理(さわちりょうり)
皿鉢と呼ばれる大皿に数種類の料理を多人数分いっしょに盛り込んだ豪快な料理です。
■ 皿鉢料理(さあちりょうり)という場合もあります。
料理は生ものと組みものに大別され、生ものはタイの活き造りやカツオのたたきなど魚介類の刺身を盛り合わせます。
組みはものには、すしの盛り合わせや煮物、焼き物、揚げ物、寄せ物、果物などを用い、5~7種類の料理を盛り合わせ、ぜんざいやそうめんなどを盛り込む場合もあります。
一皿に約3人分の割合で盛り合わせ、宴会の規模が大きくなるときは皿の大きさや枚数を増やします。
これらの皿は、物据え膳(ものずえぜん)と呼ばれる大ぶりの漆塗り(うるしぬり)の台の上にのせます。
宴会が始まると客は各自で自分の好みの料理を自由に取って食べますが、この形式は昔、大勢の武士が取り分けて食べた戦場料理に由来するといわれています。
どろめの葫饅(どろめのにんにくぬた)
ニンニクの葉茎をすり込んだ酢みそをドロメにつけて生のまま食べる料理です。
ドロメを使った料理には他にも三杯酢をかけたり、卵でとじたりするものがありますが、鮮度が落ちやすいために新鮮な魚しか使用しません。
酢みそ和えに使用する玉みその詳しい内容につきましては≫「玉みその作り方と割合3つ」に掲載しております。
引付け(ひっつけ)
ひっつけとは「くっつける」という意味の言葉で、魚のすり身と他の材料をくっつけた料理の総称です。
引付けは、土佐名物の皿鉢料理(さわちりょうり)の組みものには欠かせない料理で、高野豆腐、凍りコンニャク、シイタケ、板コンブ等でエソのすり身を挟んだり巻いたりして形をととのえ、いったん蒸したものを含め煮にします。
もぶり
いろいろな具を炊きたての飯にまぶした混ぜご飯の一種です。
混ぜ込む具には干しシイタケ、干しダイコン、ニンジン、ゴボウ、コンブ、煮干し、さつま揚げなどを出汁(だし)、塩、砂糖、しょうゆで煮汁がなくなるまで煮たものを用います。
にぎり飯や海苔(のり)巻きの具としても使え、酢を用いて酸味をきかせる地方もあります。
湯鯔(ゆぼら)
湯通ししたボラを合わせ酢で食べるものです。
■ 船上でとれたてのボラを三枚におろし、適当な大きさに切って熱湯を通し、酢みそ、二杯酢、三杯酢などで食べます。
※ 郷土料理は各地方で独自に発展しているため、地域によって材料や作り方などが多少異なる場合があります。
【関連】
≫料理の雑学、豆知識一覧
≫日本料理、会席・懐石案内所
≫献立四季報「春夏秋冬」味暦
≫煮物レシピと調味料の割合
【参考】
≫献立別の料理用語集一覧
【献立別】 | 各料理の語源、意味、由来など |
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