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和食の料理用語集【長崎県の郷土料理と名物料理】
飛魚茶(あごちゃ)
長崎県の郷土料理で、トビウオを具に用いたお茶漬けのことです。
うす塩をあてたトビウオを1~2日ていど風干しにしたものを火であぶります。
これを、たたきほぐして繊維状にしてから飯の上にのせ、熱い番茶を注いで食べます。
■ アゴとはトビウオの地方名で、島根県では「アゴの野焼き」(アゴ竹輪)が有名です。
【アゴの野焼き】
鰯の唐鮨(いわしのからずし)
おからにイワシをのせた握りずし風のもので、「イワシの生ずし」または「おかべずし」と呼ぶ地方もあります。
おからを十分にすり混ぜて裏ごしたものに酒、酢、塩、砂糖などで味つけし、余分な水分をいり飛ばしておきます。
イワシは骨を抜いてひと塩したあとに酢洗いして余分な水分をふき取り、先ほどのおからを俵型にととのえて、その上に下処理をほどこしたイワシをのせて作ります。
海胆ふわふわ(うにふわふわ)
ウニ入りの玉子焼きのことです。
ウニはすり鉢ですって酒でのばし、卵を混ぜて調味します。
この卵液を弱火にかける、または湯せんにかけ、ふわふわの状態になるまで加熱して作ります。(いろどりにミツバやネギなどの青味を加える場合もある)
浦上そぼろ(うらかみそぼろ)
長崎県の中でもカトリック教徒の多い浦上で起こり、代々伝えられてきたとされる郷土料理です。
細切りにした豚肉、きくらげ、たけのこ、にんじん、しいたけ、こんにゃく、さやいんげん、もやし、小口切りの銀なんなどをゴマ油でさっと炒めて酒、砂糖、しょうゆ、粒こしょうなどを合わせた汁で煮て作ります。
大村鮨(おおむらずし)
長崎県の大村地方に古くからつたわる伝統的なすしのことで、戦国時代に領民が藩主の凱旋(がいせん)を祝って、手持ちの材料でにわかに作った料理が起源とされます。
普段よりも多めの砂糖を使った甘味の強いすし飯に大村湾でとれる魚介類や季節の野菜、錦糸たまごなどの多くの具を盛りつけたすしで、祝い事に好んで作られます。
すし枠にすし飯を均等に詰めて、その上に具を散らして錦糸たまごを一面にのせ、ふたをして重しをします。
これを2~3段重ねにして作り、場合によってはさらに豪華に盛りつけることもあります。
がんば料理
長崎県の島原地方に伝わる郷土料理のことで、フグを使うところが特徴です。
本来「がんば」とは棺箱(かんばこ)= 棺桶(かんおけ)のことで、フグにあたると命を落として棺箱に入ることになりますが、それでも食べたいと思うほどフグは美味しいということこら、島原地方ではフグを「がんば」と呼びます。
よく知られているものに「ガンバの湯引き」や「ガンバのがね炊き」があり、湯引きはそぎ切りにした身を湯に通してから冷水に落として身をしめ、水分をふき取ったものに薬味とたれを添えます。
■ たれはポン酢、梅肉、米酢、しょうゆ、煮切り酒などを合わせたものが一般的に用いられ、薬味にはニンニクの葉のみじん切りや、もみじおろし等が多く使われます)
がね炊きは、内臓を除いたフグをぶつ切りにしてから酒、梅干し、しょうゆと刻んだニンニクの若芽を加えて煮汁がなくなるまで煮た料理です。
金麩羅棒(きんぷらぼう)
車えびを用いた揚げ物のことで、棒のようにまっすぐな形にして黄色く揚げることからこの名があります。
えびは下ごしらえのさい、腹がわに包丁目を入れて曲がるのを防ぎます。
また、衣に卵黄をたっぷりと用いるところが特徴です。
具雑煮(ぐぞうに)
島原地方の雑煮。
1637年(寛永 14)に起こった島原の乱で原城に籠城(ろうじょう)した一揆(いっき)軍が、兵糧(ひょうろう)として持ち込んだ餅(もち)で作ったのが起源といわれ、文字通り具が多い雑煮です。
鶏肉、あなご、魚肉練り製品、凍り豆腐(高野豆腐)、たまご焼き、しいたけ、山いも、菊菜、れん根、ごぼうなど、好みの材料を具に用いて作ります。
黒味和え(くろみあえ)
木の芽みそに焼きコンブの粉末を混ぜ合わせた黒色の衣でイカの細切りなどを和えた料理です。
■ 色付けに黒ゴマやイカの墨(すみ)などを用いる場合もあり、墨和え(すみあえ)ともいいます。
ごーれん
獣鳥肉(じゅうちょうにく)や魚肉類を用い、清酒、ワイン、ブランデーなどの酒類と砂糖、しょうゆ、少量のコムギ粉を混ぜ合わせた漬け汁にひたして、これを油で揚げたものです。
■ 揚げてから漬け汁にひたす場合もあります。
皿饂飩(さらうどん)
皿に盛りつけるめん料理のことです。
中華めんは、煮立てたスープ(鶏ガラ、豚骨でとる)をかけて水けを切ったのちに、油で揚げる、またはラードで炒めて皿に盛りつけます。
そして、豚肉、エビ、イカ等の魚介類と野菜類など多数の具を短冊状に切ってラードで炒め、ここにスープを加えて味をととのえます。
仕上げに、カタクリ粉でとろみをつけて、皿に盛りつけためんの上にかけて作ります。
椎茸の粕漬け(しいたけのかすづけ)
長崎県島原地方の名物とされる漬物で、生シイタケを丸ごと酒かすに漬けたものです。
鯛の兜蒸し(たいのかぶとむし)
島原地方の郷土料理。
3~4㎏の大型のタイの頭を使った蒸し物のことで、タイの頭を胸びれと腹びれのついたまま縦二つ割りにして強火で15~20分ほど蒸します。
大きなふた付きの器にしょうゆ、ポン酢などで調味しただしを張り、タイを盛りつけて木の芽を添えます。
【参考レシピ】
ちゃんぽん
具だくさんのめん料理のことです。
豚肉、イカ、エビ等の魚介類とニンジン、タマネギ、キャベツなどの野菜類十数種類を短冊状に切ってラードで炒め、鶏ガラ、豚骨でとったスープを加えて味をととのえます。
ここにちゃんぽん用の麺を入れて少し煮立てて丼に盛りつけます。
■ 具には木くらげや、うずらのゆでたまごなども用います。
長崎天麩羅(ながさきてんぷら)
アマダイ、イトヨリダイ等の白身魚や鶏肉などを用います。
材料に下味をつけたものに酒、塩、砂糖、しょうゆ、卵黄、水とコムギ粉などを混ぜ合わせた衣をつけ、ふわりと揚げた料理です。
六兵衛(ろくべえ)
島原地方の郷土料理。
サツマイモを主材料にしたソバで、飢饉(ききん)のときに六兵衛と呼ばれる名主(みょうしゅ)が考案したといわれる料理です。
干しサツマイモを砕いた粉末と、すりおろしたヤマノイモに湯を加えてこね、専用の六兵衛おろしという器具を通すなどしてめん状に形作ります。
これをゆでて、カツオ節などでとっただしに塩、しょうゆ、みりん等を加えて調味したかけ汁をかけ、薬味には、おろしショウガとネギを添えます。
※ 郷土料理は各地方で独自に発展しているため、地域によって材料や作り方などが多少異なる場合があります。
【関連】
≫料理の雑学、豆知識一覧
≫日本料理、会席・懐石案内所
≫献立四季報「春夏秋冬」味暦
≫煮物レシピと調味料の割合
【参考】
≫献立別の料理用語集一覧
【献立別】 | 各料理の語源、意味、由来など |
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